のぼるきょじん

いわをのぼるひと。

忍者岩のチッピングに思うこと

クリスマス。

いつも通りに御岳へ向かう。

今日は蟹虫を繋げ通して良い日になるはずだった。

 

いつもと同じように車を駐車し、

いつもと同じように岩を目指して歩く。

 

ご存知の通り、いつもと同じはずの忍者返しの岩はそこには無く、

忍者岩が何者かにチッピングされていた。

 

紛れもなくホールドは変化していた。

とんでもないクリスマスプレゼントだ。

本当に冗談じゃない。

 

 

 

僕たちクライマーは謙虚でなければならない。

自然に対してもそうだし、岩を有する土地の所有者や近隣の住民に対してもそう。

近年クライマーのマナー問題が議論される事も少なくない。

 

ジムが増え、クライミング愛好者が増え、色々な価値観を持った人が現れる、岩場はキャパを越え、問題も増えている。

 

アクセス、トイレ、ゴミ、ナイトクライミング、騒音、チョーク汚れ。

誰が悪い、何が悪いという事ではないのだけど、目に余る出来事が多いのは事実。

 

自分の行動を見返した時に胸を張って自分は大丈夫と言えるかというと、そうでもないので偉そうな事は言えないのだけど。

 

どちらにせよ、一人ひとりのクライマーが少しずつ配慮し合あう必要があると思うし、

当たり前になってしまっていることを今一度考え直す必要があると思う。

 

 

 

 

 

話は戻って忍者岩のチッピング。

かなりショッキングな出来事で本当に許せない。

手が加えられ変形した岩は元には戻らないし、犯人を裁くことも出来ない。

 

何もできない。

 

 

チッピングされ人工壁と化したラインを登るのか否か。

 

チッピングの容認に繋がるからそのラインは登るべきではないという意見や、

チッピング犯に屈することになるから気にせず登るべきという意見など、

様々な意見が出ている。

 

何が正解なんだろう。

 

SNS(特にtwitter)では各々好き勝手な主張が流れているのだけど、自分が100%合っているというような意見の押し付け合いがとても見苦しい…。

 

 

自分はどうだろうか。

正直答えが見つからない。

 

登りたいけど登りたくない。

登りたくないけど登りたい。

 

 

御岳は、というか忍者岩は短いクライミング人生の中で間違いなく一番多く足を運んでいて、

本当に多くの時間とエネルギーを注いだ。

思い入れのあるラインも多いし、様々な出会いもあり、楽しい思い出も悔しい思い出も沢山ある。

 

身を削り時間をかけ育ててきた物を、突然取り上げられた様だ。

2週間近く経った今もモヤモヤしたままで、御岳に行こうという気分になれない。

 

 

蟹虫に関してはトライすれば多分登れると思う。

でも、登れてもモヤモヤするだろう。

 

 

 

 

チッピングは絶対的に許してはいけない。